「パン」とは何でしょうか?突然に質問されると100%の内容で答えるのは少し難しいですよね。
「パン」とは、小麦粉、あるいはその他の穀粉に、パン酵母、食塩、水などを加えて生地を作り、発酵させた後、焼成されたものを言います。つまりは、小麦粉、ライ麦粉などに「パン酵母」を加え、生地を作った後、「発酵」させて焼成しなければパンとは言えません。
では、この「パン酵母」を使うことで、どのような効果があるのか一緒に考えていきましょう。

発酵のメカニズムを知る
昔から、「パン作りの秘訣は、1粉、2種、3技術」と言われています。パン生地を作る際、パン酵母の配合率は低いですが、良質なパン作りにおいて、最も重要な材料のひとつであることは、間違いありません。
簡単にメカニズムを説明すると、下記のようになります。
発酵のメカニズム
パン酵母中の酵素が生地中で糖分を分解して炭酸ガスを作り、そのガスをグルテン膜が包み込んで、焼成により生地が膨張した状態で固まり、「パン」になります。
この生地膨張により火通りが良くなり、消化が良くなります。そして、パン酵母発酵によるアルコールとエステルなどの揮発性物質などの産物により商品価値が高まります。

パン酵母の正体
「パン酵母(イースト)」は、パンを作る時には必ずと言っていいほど使用します。パン酵母は、「菌類」に分類されます。生物は、動物・植物・菌類と大別されます。菌類は、さらに真核菌類と原核菌類に区別されます。尚、パン酵母は、真核菌類の「微生物」に該当します。
パン酵母は、人間にとって非常に有益な微生物です。同じ真核菌類に属している「カビ類」と大きさを比較すると、パン酵母はかなり大きく、原核菌類の細菌よりも大きいです。
パン酵母の種類と形状
一口にパン酵母と言っても、実際には、何百種類もの多種の酵母が存在します。その中から、パンや菓子に適した酵母として、サッカロミセス・シルヴィシエという種の酵母が、パン用酵母として、用いられています。
その他には、酒酵母やビール酵母などを培養し、用途に応じ使い分けています。
基本的なパン酵母の形状
卵形、長円型、球形、レモン型、ソーセージ型、糸状型などに分けられます。
パン酵母の大きさ
短径3~7μ(ミクロン)、直径4~14μ(ミクロン)程度の大きさ。一般的には、培養した酵母は大きく、野性酵母は小さめとなっています。
人間は無数の細胞が集まって1つの生命体を成すが、酵母は1つの独立した生命体をもつ細胞です。
パン酵母の細胞数
パン酵母は様々な種類が存在しますが、パン酵母の細胞数をみていきましょう。
生イースト1g中の細胞数
生イーストの1gの中には、細胞が約100~200億個あるといわれています。市販されている1ポンド(500gの1つの塊)換算すると、約3~4兆個の細胞が凝縮されていると考えられます。
細胞の成分を分析すると、1個の細胞のうち約70%が水分です。残りの固形分には、蛋白質、炭水化物、脂肪、灰分などが含まれています。
酵母の住みか
酵母は、 りんごやぶどう、芋、枯葉や枯れ枝の など、熱帯の南国から北極の果てまで、地球上のあらゆる所を住みかとして存在しています。意外なところでは、馬糞にまで、酵母は付着し住みかとします。

酵母の増殖
パン酵母は「出芽」という方法をとって増殖します。これは、細菌分裂とは違い、母細胞の一端に、子細胞という小さな突起が出て、しだいに大きくなり、やがては完全に成熟した1個の細胞となり母細胞と離れます。この出芽を繰り返して、パン酵母は増殖していきます。最適な環境下では、出芽してから分離するまでに、約2~3時間がかかります。
【増殖速度に影響を与える条件】
・培養温度
最適温度は、28~32℃。
高温の限界は、38℃。
38℃以上で、機能が低下。
60℃以上で、死滅し始める。
・栄養供給
・酸素供給
覚えておこう!
『酸素・水・その他の栄養など』によって酵母は増殖していきます。
酸素が無くなると酵母は『発酵』します。
酵母の発酵をさせずに酵母を増殖させるためには、『酸素』が必要です。
そして、その『酸素量』に比例して、酵母の増殖速度が変化します。

パン酵母の種類
パン酵母の種類に関しては、別の記事で詳しく説明します。ここでは「新機能のパン酵母」について少し触れていきます。
大抵は、生イーストやドライイースト、インスタントドライイーストが用いられていると思います。しかしながら、現代は、パン酵母を選ぶことのできる時代です。「新機能を備えたパン酵母」の一部を、下記にご紹介します。
新機能を備えたパン酵母のご紹介






使い方によって、現在のパン品質を向上してくれるパン酵母が、数多く存在しています。それぞれの特徴を見極め、使い分けながら、新たなパン作りを楽しんでみてください。
まとめ
いかがでしたか。本記事では、パン作りにおいてとても大切な役割を担っている「パン酵母」について学びました。「パン酵母」を理解を深め、さらには、「新機能を備えたパン酵母」にも挑戦しパン作りを楽しんでいきましょう。
それでは、「美味しいパン作り生活」を引き続き楽しみましょう。今回は、以上です。
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